中国の国営メディアは、ベトナムなどと領有権争いのある南シナ海の西沙諸島(英語名・パラセル諸島)の島に、中国の国有企業が映画館を建設したと伝え、中国としては、軍事関連施設に加え、娯楽施設も建設することで実効支配の既成事実化を進める狙いがあると見られます。
中国国営の新華社通信は、南シナ海の西沙諸島のうち、中国が実効支配するウッディー島に、中国の国有企業が最新設備を備えた映画館を建設し、オープンさせたと24日までに伝えました。
式典では、軍人ら200人余りが映画を鑑賞し、今後は、中国本土の映画館と同じような作品が毎日上映されるとしています。
西沙諸島は、中国とベトナム、それに台湾が領有権を主張していますが、実効支配する中国が地対空ミサイル部隊を展開するなど軍事拠点化を進めていると指摘されているうえ、図書館や体育館といった生活に関連する施設も相次いで建設されています。
こうした動きについて中国外務省の陸慷報道官は、24日の記者会見でNHKの質問に答え、「日本やほかの国と同様に、中国が自国の領土に映画館を建設することには異論を挟む余地はない」と正当化しています。
中国としては、西沙諸島で、軍事関連施設に加え、娯楽施設などの建設も幅広く進めることで、実効支配の既成事実を着々と積み重ねていく狙いがあると見られます。
-- NHK NEWS WEB