去年、韓国から福岡に向かっていた高速船がクジラと見られる海洋生物と衝突し、9人がけがをした事故で、国の運輸安全委員会は、事前に目撃情報があったにもかかわらず、見張りを強化しなかったことが原因になった可能性があるという報告書を公表しました。
去年1月、韓国のプサン港から福岡市の博多港に向かっていた高速船「ビートル」が、長崎県対馬市の沖合でクジラと見られる海洋生物と衝突し、9人が骨を折るなどのけがをした事故について、国の運輸安全委員会は27日、報告書を公表しました。
それによりますと、現場付近では、事故の4日前にもクジラらしき生き物が目撃されたことから、運航会社のJR九州高速船が減速して航行する海域を設定し、各船舶の船長に船にある情報端末などを通じて伝えていました。
しかし事故を起こした高速船の船長は、この情報を認識していたものの乗組員に伝えるのを忘れ、見張りの強化が行われなかったため、気付くのが遅れて、衝突を回避できなかった可能性があるとしています。
このため運輸安全委員会は、運航会社に対し、注意情報の周知を徹底するとともに、安全対策が確実に取られるよう具体的な規程を定めることなどを求めています。
-- NHK NEWS WEB