医学に関係する学会で作る日本医学会連合は、研究者の倫理についての提言をまとめ、「研究者は製薬企業などの販売促進に関与すべきではない」などと警鐘を鳴らしました。
この提言は、国内の医学系の研究者が論文を撤回するケースが相次いだことや、大手製薬会社「ノバルティスファーマ」の薬をめぐる臨床研究の論文で、大学の研究グループがデータを改ざんしたことが明らかになったことなどから、医学に関係する120以上の学会で作る日本医学会連合がまとめ、公表しました。
その中では、「科学技術立国を自認するわが国にとって、極めて憂慮すべき状況が生まれている」としていて、製薬企業などが研究費の提供や寄付の名目で資金を多くの研究者に提供し、販売促進のため研究成果の一部を抜き出して広告したり、研究者に講演させたりすることが常態化していると指摘しました。
そして、医学研究者はこうした企業の販売促進活動に関与すべきではないとしています。
この提言を取りまとめた日本医学会連合研究倫理委員会の市川家國委員長は、「背景には医学系の研究者が研究倫理に対して認識が不足している現状がある。提言をきっかけに信頼回復に努めてほしい」と話しています。
-- NHK NEWS WEB