おととし、新入社員の女性が過労によって自殺した大手広告会社・電通は、27日、深夜業務を原則禁止にするなど、長時間労働の是正に向けた改善計画を発表しました。
電通では、おととし、新入社員だった高橋まつりさん(当時24)が過労自殺し、法人としての電通が高橋さんを含む4人の社員に違法な残業をさせた罪に問われ、公開の法廷で審理されることになりました。
こうした問題を受けて電通は、長時間労働の是正に向けた改善計画をまとめ、27日山本敏博社長が都内で記者会見しました。
冒頭で山本社長は、違法残業事件が公開の法廷で審理されることについて「厳粛に受け止める」と述べたうえで、一連の問題について「関係者の方々や社会の皆様にご迷惑とご心配をおかけし心からおわび申し上げる」と謝罪しました。
そのうえで、再来年度に、社員1人当たりの労働時間を平成26年度の実績と比べて20%削減し、違法な残業や過重労働を無くすという目標を掲げました。
そのための対策として、午後10時から翌日午前5時までの深夜業務を原則、禁止としたうえで、正社員や契約社員などの採用を増やしたり、視聴率の入力など300の業務について自動化を進めたりして社員の負担を減らしていくとしています。
また、社員が取得できる連続休暇の日数の拡大や、週休3日制の導入も検討することにしています。
電通の山本敏博社長は、「すべての業務の在り方を根本から見直し、社員一人一人の健康を経営の根幹に据える。そのうえで、労働時間の短縮と業務の向上の両立を実現させ、新しい電通を創りたい」と話しています。
-- NHK NEWS WEB