経営再建中の東芝が半導体事業を政府が主導する日米韓連合に売却する交渉は、この事業で提携するアメリカのメーカーが交渉の差し止めを国際機関に申し立てていて、両社の対立は長期化も懸念されています。このため、売却交渉の行方は、東芝が日米韓連合の中核で、対立の解消を条件としている産業革新機構と条件面で折り合えるかが焦点となります。
東芝は半導体事業の売却先として、日本の官民ファンドの産業革新機構やアメリカのファンド、韓国の半導体メーカーなどの日米韓連合と交渉を進めていますが、半導体事業で東芝と提携するアメリカのメーカー、ウエスタンデジタルは強く反発しています。
ウエスタンデジタルは売却交渉の差し止めを求めて2つの申し立てを行っていて、このうちアメリカの裁判所は28日、交渉を差し止めるべきかを判断せずに、事実上裁判を終えました。一方、企業間の紛争を仲裁する国際仲裁裁判所に行った申し立ては、結論が出るまでに1年以上かかると見られていて、両社の対立は長期化も懸念されています。
日米韓連合の中核である産業革新機構は、両社の対立が解消することを出資の条件としているため、売却交渉の行方は東芝と産業革新機構が条件面で折り合えるかが焦点となっています。
一方で、東芝は日米韓連合との交渉が進まない事態も想定して、ウエスタンデジタルとアメリカの投資ファンド「KKR」のグループや台湾のホンハイ精密工業のグループとも並行して交渉を進めています。
また、東芝は昨年度の決算の発表を延期していますが、チェック役の監査法人「PwCあらた」の承認が依然として得られないまま、有価証券報告書を国に提出する期限が来月10日に迫っています。
監査法人の承認なしに有価証券報告書を提出せざるを得なくなれば、経営への信頼回復が遅れるとともに、半導体の売却交渉に影響を与える事態も予想され、東芝は監査法人との協議を急いでいます。
-- NHK NEWS WEB