アメリカのトランプ大統領はロシアに対しプーチン政権の基盤であるエネルギー分野などで新たな制裁を科す法案に署名したことを明らかにし、これに反発を強めるロシアとの関係がさらに悪化するのは避けられないものと見られます。
アメリカのトランプ大統領は2日、声明を発表し、ロシアが去年のアメリカ大統領選挙にサイバー攻撃などで干渉したとされる問題やウクライナ情勢をめぐり、議会で先月、与野党の幅広い支持を得て可決された、ロシアに対して新たな制裁を科す法案に署名したことを明らかにしました。
この法案には、ロシアがエネルギーを輸出するパイプラインの建設のために技術や物品を提供するなどした企業に対し、アメリカ国内での金融取引や関係者の入国を禁止するなどの制裁を科すことが盛り込まれています。
トランプ大統領は声明で、制裁の解除には議会の同意が必要だと法案に明記されたことを批判しながらも、国内の世論を踏まえて署名したと強調しました。
これに対してロシア外務省は「ロシアとアメリカが特別な責任を負っている世界の安定が崩れかねない危険な政策だ」などと非難する声明を発表し、反発を強めています。
米ロ両国は先月、トランプ大統領とプーチン大統領の初めての首脳会談で、関係改善を模索していくことで一致したばかりですが、アメリカが議会主導でロシアへの圧力の強化を決めたことによって、冷戦終結後最悪とも言われる米ロ関係が、さらに悪化するのは避けられないものと見られます。
-- NHK NEWS WEB