弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮が、制裁が強化されているにもかかわらず、産地を偽装した石炭の輸出や外国人を代理人にした金融取引などによって制裁をすり抜け、この半年で日本円にしておよそ300億円を得ていたとする報告書がまとまりました。
報告書をまとめたのは、国連の安全保障理事会で北朝鮮に対する制裁決議の履行状況を調べている専門家パネルです。
報告書は、ことし2月に中国政府が安保理の制裁決議に基づいて年内は北朝鮮からの石炭の輸入を停止すると発表して以降、北朝鮮は石炭を、産地を偽装するなどしてマレーシアやベトナムに輸出したり、外国人を代理人に金融取引をしたりして、この半年で少なくとも2億7000万ドル、日本円にしておよそ300億円を得ていたと指摘しています。
また、去年3月の制裁決議で禁じられたにもかかわらず、北朝鮮当局が他国の船会社と結託し、北朝鮮船籍を隠して船舶を運航しているとして、取り締まるべきだと勧告しています。
さらに、中東やアフリカ地域、特にシリアで、北朝鮮国籍の人物の活動が目立ち地対空ミサイルの取り引きなど禁止されている行為に関与している疑いについて調査しているということです。
そのうえで報告書は、北朝鮮の制裁逃れの範囲が広がり、現状では、北朝鮮に核・ミサイル開発を断念させるにはほど遠いと警鐘を鳴らしています。
報告書は7日、安保理の制裁委員会に提出され、今月中に公表される予定ですが、安保理は国際社会に制裁の徹底を改めて求めることになりそうです。
-- NHK NEWS WEB