経営再建中の東芝は、昨年度の決算を当初の予定より3か月近く遅れて10日に発表しました。チェック役の監査法人は、内容はおおむね妥当だとする「限定付適正」の意見をつけ、経営再建への課題となってきた決算の取りまとめについては、ようやく決着が図られました。
東芝の昨年度の決算は、監査法人の「PwCあらた」が、アメリカの原子力事業による巨額の損失をもっと早く認識できなかったか、過去の決算もさかのぼって調べる必要があると主張し、発表が延期されてきました。
東芝は10日、当初の予定から3か月近く遅れて昨年度の決算を発表し、監査法人は、損失をもっと早く認識できた可能性は残るものの、現在の財務状況など決算の内容はおおむね妥当だとする「限定付適正意見」をつけ、一定のお墨付きを与えました。これによって、東芝の経営再建への課題となってきた決算の取りまとめについては、ようやく決着が図られたことになります。
発表された決算によりますと、グループ全体の最終的な赤字額は9656億円で、日本の製造業としては過去最大となりました。また、ことし3月末現在の株主資本は5529億円のマイナスと、大幅な債務超過になりました。
東芝は、今回の決算を含む有価証券報告書を国に提出し、今後、東京証券取引所が、東芝の株式の上場を維持するかどうか、審査を進めることになります。ただ、この審査とは別に、今年度の決算で東芝が2期連続の債務超過となれば、上場廃止になるため、東芝としては、半導体事業の売却交渉をいかに早く決着させて債務超過を回避するかが課題となります。
-- NHK NEWS WEB