経営再建中の東芝は、懸案となっていた昨年度決算の発表が10日終わり、今後は、経営に大きな影響を及ぼす株式の上場廃止を避けるため、半導体事業を早期に売却し、来年3月末までに債務超過を解消できるかが焦点となります。
東芝は当初の予定から3か月近く遅れて10日、昨年度の決算を発表し、チェック役の監査法人は、内容はおおむね妥当だとする「限定付適正」の意見をつけ、懸案となっていた決算の取りまとめは、ようやく決着しました。
これを受けて、綱川智社長は10日の記者会見で、次の大きな課題は、半導体事業の売却交渉を進めることだという認識を示し、「来年3月末の売却完了に向けて、最善を尽くす」と述べました。
東芝は、来年3月末の時点でも債務超過を解消できないと、株式が上場廃止となり、株式市場を通じて資金を集められなくなるうえ、銀行からの借り入れで、より厳しい条件を突きつけられる可能性も出てくるなど、経営への影響が避けられません。
このため、東芝は来年3月末までに半導体事業の売却を完了させたい考えですが、政府が主導する“日米韓連合”への売却交渉は、東芝が半導体事業で提携するアメリカのメーカー、ウエスタンデジタルが裁判所に交渉の差し止めを申し立てるなど強硬に反対していることから、合意に至ることができるか、先行きは不透明になっています。
このため、東芝は、裁判所への申し立てを取り下げることを前提に、ウエスタンデジタルと交渉を進めているほか、台湾のホンハイ精密工業とも交渉を進めています。
東芝の経営再建は、今後、株式の上場廃止を避けるために、半導体事業の売却交渉を早期に決着させることができるかが焦点となります。
-- NHK NEWS WEB