太平洋戦争中に徴用され、日本の工場で働かされたとする韓国の元労働者やその遺族らが日本企業に対して損害賠償を求めた裁判で、韓国の裁判所は原告側の主張を認める判決を言い渡しました。韓国ではこうした判決が相次いでいますが、日本政府は両国間で結ばれた協定ですでに解決済みだという立場です。
この裁判は太平洋戦争中に徴用され、名古屋市にあった三菱重工業の航空機工場で働かされたとする韓国人の元労働者とその遺族合わせて4人が、過酷な労働を強いられたとして損害賠償を求めたものです。
韓国南西部のクワンジュ(光州)にある地方裁判所は11日、原告側の主張を認め、三菱重工業に対し1人あたり日本円でおよそ950万円から1400万円の賠償を命じる判決を言い渡しました。
日本政府はこうした請求権に関わる問題は、1965年の日韓国交正常化に伴って両国間で結ばれた協定ですでに解決済みだという立場です。しかし5年前、韓国の最高裁判所が「個人の請求権は消滅していない」とする判断を示して以降、韓国では日本企業を相手取った裁判が相次いでいて、今月8日にも原告の主張を認める判決が出されたばかりです。
この問題について、ムン・ジェイン(文在寅)大統領は就任後、公の場で言及したことはありませんが、韓国外務省は「強制動員の被害者の訴訟が進行中なので、政府として立場を表明することは自制する」として、司法の判断を見守るという立場をとっています。
-- NHK NEWS WEB