電子書籍の配信事業を展開するネット通販大手の「アマゾン」は、これまで出版社に対し、価格や品ぞろえでほかの配信事業者よりも不利にならないよう求めていた契約の条件を今月、撤廃し、公正取引委員会に報告しました。
ネット通販大手の「アマゾン」は、世界各国で450万作品を超える電子書籍を配信していて、日本語の電子書籍も40万作品以上取り扱っています。
アマゾンはこれまでアメリカにある電子書籍事業の運営会社が日本の出版社と契約する際、価格や品ぞろえでほかの配信事業者よりも不利にならないようにすることや、定額配信など新たなサービスや機能をほかの事業者で導入する場合には、アマゾンにも導入するよう求めていました。
しかし、今月4日にこうした契約の条件を自主的に撤廃し、出版社に通知するとともに公正取引委員会に報告しました。
アマゾンのネット通販事業では、日本法人が公正取引委員会の調査を受けて、ことし6月、出品業者に対して同様に契約の条件の見直しを行っています。
また、ヨーロッパで展開している電子書籍の配信事業でも、EUの執行機関にあたるヨーロッパ委員会の調査を受けて、ことし5月、出版社に対して求めていた同様の契約の条件の撤廃を決めています。
公正取引委員会は条件の撤廃によって、事業者間の競争が適正に行われ価格の引き下げやサービスの向上につながることが期待されるとしています。
国内での電子書籍の配信を担当しているアマゾンの日本法人は「今回の対応は日本だけではなく、海外全体で行っているもので、お客様により求めやすい価格で、より豊富な品ぞろえを提供できるよう努めてまいります」とコメントしています。
-- NHK NEWS WEB