南海トラフ巨大地震について、国の検討会は新たな防災対策を示した報告書の案を25日、まとめました。南海トラフで起きる巨大地震の一つで、予知を前提として進められてきた「東海地震」の今の防災対策については改め、新たな制度の構築などを検討すべきだと指摘しています。
南海トラフ巨大地震をめぐって、国は、6年前の東日本大震災をきっかけに想定を見直し、南海トラフ全域を震源域とする対策に切り替えたことなどから、去年、有識者による検討会を設置し、議論を進めてきました。
25日まとまった報告書の案では南海トラフで起きる巨大地震の一つで、「大規模地震対策特別措置法」、いわゆる「大震法」に基づき予知を前提として対策が進められてきた「東海地震」について、鉄道の運行規制や会社や学校を休みにするなど社会活動や経済活動を大幅に規制する「警戒宣言」の発表につながるような確度の高い予測は、「できないのが実情だ」としています。
そのうえで「大震法」に基づく今の防災対策は改めることが必要で、新たな制度の構築などを検討すべきだと指摘しています。
一方、25日の案では、たとえば南海トラフの一部がずれ動いて大きな地震が発生し、その後、それとほぼ同じかさらに規模の大きな巨大地震が発生する懸念がある場合など、正確な予測まではできないものの次の巨大地震が発生する可能性がある4つのケースを提示したうえで、このうち特に切迫している2つのケースについては、例えば短時間で津波が到達すると予想される地域では、早めに安全な場所に避難することなど、新たな対策を示しています。
さらに、こうした対策を混乱なく行うためには自治体や企業などによる協議会を設置し、あらかじめ防災計画を策定しておくことが重要だとしています。
検討会は、今後、報告書を正式に取りまとめ、来月以降、国に提出することにしていて、国は、これを基に新たな対策の内容について具体的な検討を進める方針です。
-- NHK NEWS WEB