経営再建中の東芝は、半導体事業をアメリカのウエスタンデジタルに売却する交渉を進めてきましたが、両社の主張は隔たったままです。こうした中、東芝が当初、優先的に交渉を進めていた“日米韓連合”側が、アメリカのアップルも参加する新たな買収の仕組みを東芝に提案したことがわかりました。
東芝は、半導体事業の売却をめぐって、政府が主導してまとめた日本とアメリカのファンドや韓国の半導体メーカーなどで作る“日米韓連合”と、ことし6月から優先的に交渉を進めてきました。
しかし、東芝と半導体事業で提携するアメリカのウエスタンデジタルが交渉の差し止めを裁判所に申し立てるなど強く反発し、交渉は難航していました。
このため、東芝は、いったん方針を転換し、31日までの合意を目指して、半導体事業をウエスタンデジタルに売却する交渉を加速していましたが、ウエスタンデジタルの経営への関与の度合いをめぐって主張の隔たりは埋まっていません。
これに対して、関係者によりますと、“日米韓連合”に参加しているアメリカの投資ファンド「ベインキャピタル」が巻き返しに向けて東芝に新たな提案を行ったことが明らかになりました。
具体的には、ベインキャピタルと東芝が、半導体子会社「東芝メモリ」の株式をそれぞれ46%ずつ握り、新たにアメリカのアップルがおよそ3000億円の資金を提供することなどで、買収の総額は東芝が求める2兆円を確保します。そして、ウエスタンデジタルとの裁判が決着し、産業革新機構に売却できるようになった時点で、機構に株式の一部を譲渡し、日本勢が経営を主導できるようにします。
東芝は、今回の提案を含めて検討を進め、売却先の選定を急ぎたい考えですが、関係者の一部には新たな提案に慎重な意見もあり、31日までに売却先が決まる見通しは立っていません。
-- NHK NEWS WEB