安倍総理大臣は、参議院の特別委員会の集中審議で、TPP協定をめぐる状況は大変厳しいものの、アメリカを除く参加11か国の発効に向けた信念は固いとして、日本は国内手続きを完了すべきだという考えを重ねて示しました。
この中で、自民党の山田修路参議院議員は、アメリカのトランプ次期大統領が、TPP=環太平洋パートナーシップ協定から離脱する考えを示していることに関連して、「TPP以外の選択肢として、日米の2国間交渉を行えば、アメリカの要求はむき出しになり危険だ。今の時点では国内手続きを進め、働きかけていくべきだ」と訴えました。
これに対し、安倍総理大臣は「トランプ氏がメッセージを発する中でも、ほかの11か国のどこも『国内手続きを進めるのをやめよう』と言わないのは、TPPこそ21世紀の新しい貿易のルールだという固い信念があるからだ。状況は大変厳しくなっているが、しっかりと国内手続きを進め、批准すべきだと今でも強く確信している」と述べました。
また、安倍総理大臣は「TPPの関連予算は執行を停止し、関連法案は廃案にすべきだ」と指摘されたのに対し、「関連予算は、海外展開を考えている中小企業の競争力、生産性を上げていくためのもので、協定の発効いかんにかかわらず大切だ。執行停止は想定していない。関連法案は、いずれの改正事項が欠けても協定締結の準備は完了せず、可決していただきたい」と述べました。
一方、安倍総理大臣は、トランプ氏が、選挙期間中に在日アメリカ軍の駐留経費の増額などを求める考えを示してきたことに関連して、「トランプ氏との会談では、日米同盟は世界のさまざまな課題にともに取り組む、希望の同盟となったという価値についても述べた。トランプ氏は、同盟国が自立的な防衛努力などを重ねるべきだという趣旨の発言もしており、対等な同盟として維持していくうえで、安全保障分野で日本も努力を重ねていくべきだという考え方を持っているのではないか」と述べました。
-- NHK NEWS WEB