国の来年度予算案の編成で各省庁ごとの要求をまとめた概算要求が財務省に提出されました。医療や年金などに充てる社会保障費が高齢化で膨らみ続けるうえ、北朝鮮に対するミサイル防衛の強化など歳出の上積みを求める圧力は強まっており、一般会計の要求の総額は4年連続で100兆円の大台を突破する見通しです。
来年度、平成30年度予算案の概算要求は31日、各省庁から財務省に提出されました。
財務省では提出された要求のデータを早速、確認していました。
要求額が最も多い厚生労働省は、高齢化で医療や介護、年金などに充てる社会保障費が一段と膨らむことから、今年度の当初予算を2.4%上回る31兆4298億円を要求しました。
防衛省は北朝鮮が弾道ミサイルの発射を続ける中、ミサイル防衛を強化する新たな装備の導入などの費用を盛り込み、過去最大となる5兆2551億円を要求しました。
文部科学省などは、幼稚園や保育所の無償化を来年度さらに進める方針ですが、31日の要求では金額は示されず、年末にかけてどこまで無償化するかや財源を賄うため新たな社会保険料などを徴収するかどうかを含め、議論することにしています。
このように概算要求では歳出の上積みを求める圧力は強く、一般会計の要求総額は4年連続で100兆円の大台を突破し、101兆円前後に達する見通しです。
政府はこれまで円安や株高を背景に増加した企業からの法人税収などを活用して借金にあたる国債発行を抑え、財政健全化の取り組みを進めてきました。
しかし昨年度は国の税収が7年ぶりに前の年度を下回り、今後も税収の伸び悩みが続くことになれば主な先進国で最悪の国の財政は一段と悪化しかねないだけに、予算編成作業で社会保障費をはじめ歳出をどこまで抑えられるかが問われます。
-- NHK NEWS WEB