日本を含む世界の14万台のスマートフォンなどが乗っ取られ、企業などを狙った大規模なサイバー攻撃に悪用されていたことが、情報セキュリティー会社などの調査でわかりました。こうした攻撃が明らかになったのは世界で初めてで、専門家は新たなサイバー攻撃の手口に警戒するよう呼びかけています。
情報セキュリティー会社「アカマイ・テクノロジーズ」によりますと、悪用されたのはアメリカの大手IT企業、グーグルの基本ソフト「アンドロイド」が搭載されたスマートフォンなどの端末です。
世界100か国余りのおよそ14万台、日本でも少なくとも226台が何者かに乗っ取られ、所有者が気付かないうちに遠隔操作によって企業などを標的にしたサイバー攻撃に加担させられていました。
この攻撃は8月上旬に世界で初めて確認されたあと、15日頃に大規模化し、欧米やアジアの少なくとも50以上の企業でインターネットを通じた取引ができなくなったり支障が出たりしたということです。
しかもこうした乗っ取りは、グーグルの公式サイトを通じて配布された不正なプログラムを仕込んだアプリを通じて行われ、その多くは無料だったと見られています。
これまでに確認された不正アプリは動画を再生するものなどおよそ300種類にのぼり、いずれも通常のアプリと見分けがつかないということで、今回の問題を受け、グーグルは不正アプリを削除したとしています。
「アカマイ・テクノロジーズ」の中西一博さんは「常にインターネットにつながるスマートフォンの特徴を悪用した新たな手口の攻撃で、一台当たりの通信量は小さくても、世界同時に遠隔操作することで大規模な攻撃につながった」と話しています。
-- NHK NEWS WEB