文芸誌の売り上げが低迷するなか、大手出版社の新潮社は文芸誌で7日から連載を始めた新作の小説について、ふだん本を読まない人たちにも広く読んでもらおうと、誌面での掲載と同時にスマートフォン向けのウェブサイトでも無料で公開する新たな取り組みを始めました。
これは新潮社がインターネット検索大手のヤフーなどと共同で新たに始めた取り組みで、7日、東京都内で共同で会見を開いて発表しました。
それによりますと、7日発売の月刊文芸誌「新潮」で連載を始めた三島由紀夫賞作家の上田岳弘さんの新作小説について、9か月間の連載に合わせて「Yahoo!JAPAN」のスマートフォン向けの専用ウェブサイトでも順次、無料で公開するということです。
サイトでは本のように縦書きで記された文章を片手で縦にスクロールすることで読むことができ、途中に動画の挿絵があるほか、登場人物を説明する機能もついています。毎号の掲載内容はサイトでは8回程度に分けて公開されるということです。
文芸誌の売り上げは低迷が続き、出版科学研究所によりますと、月刊誌の発行部数は去年までの10年間で半分近くにまで落ち込んでいます。
新潮社によりますと、文芸誌の小説が外部のウェブサイトで同時に公開されるのは初めてと見られるということで「新潮」の矢野優編集長は「これまで届かなかった人にも作品を届け、小説の力を感じてもらうことで結果的に文芸誌の読者の拡大を目指していきたい」と話しています。
-- NHK NEWS WEB