旅行会社の「てるみくらぶ」が経営破綻し、利用者が前払いした旅行代金のほとんどが返還できなくなっている問題を受けて、観光庁は利用者の保護を強化するため、代金を弁済する制度を拡充する対策などを発表しました。
ことし3月に経営破綻した「てるみくらぶ」を巡っては、破綻の直前までツアーの販売を続け、利用者が前払いした最大で99億円に上る代金のほとんどが返還されない見通しで、8万人から9万人に影響が及んでいます。
このため観光庁は、新たな対策で旅行会社が経営破綻した際に業界団体を通じて前払いした代金を弁済する制度をいまよりも拡充します。
具体的には、弁済費用にあてるため一定の規模以上の旅行会社が業界団体に預けている分担金の額を10%程度引き上げ、今よりも返還できる金額が多くなるようにします。
また旅行会社の経営状況の監視を強化し、各社に義務づけている国への財務状況の報告を、今の5年に1度から毎年に増やしたうえで、業界団体による立ち入り調査も行えるようにします。
さらに旅行会社に対してツアーの代金を早い段階で現金で前払いすれば割り引きするなどといった過剰なキャンペーンを行わないよう求めます。
石井国土交通大臣は記者会見で、「今回の対策を通じ、旅行会社の経営の透明化を確保するなどして再発の防止を図り、消費者が安心して海外旅行に行ける環境を整えたい」と述べました。
-- NHK NEWS WEB