東芝は、経営再建のカギを握る半導体子会社の売却について、来週にも売却先を決めたい考えで、3つのグループと交渉を進めていますが、各グループが新たな提案や条件を示すなど激しい駆け引きが続き、交渉の行方は一段と不透明になっています。
東芝は、半導体子会社を早期に売却して、来年3月末までに債務超過を解消し、株式の上場を維持することを目指していて、来週にも売却先を決めたい考えです。
今月6日の東芝の取締役会では、売却先の候補に残っている3つのグループのうち、東芝が半導体事業で提携するアメリカのメーカー、ウエスタンデジタルのグループを推す意見が多く、東芝は集中的に交渉を進めてきました。
しかし、関係者によりますと、ここに来てウエスタンデジタルは、買収資金の一部に当たる2000億円を東芝が融資の形で出すことなど、新たな条件を示したことがわかりました。
ウエスタンデジタルが、財務の状況が厳しい東芝に巨額の資金の貸し付けを求めてきたことに、東芝の社内では不信感が強まっているということです。
こうした中、ほかの売却先の候補のうち、日米のファンドや韓国の半導体メーカーで作る“日米韓連合”は、買収額の2兆円に加えて、将来にわたり韓国メーカーの経営への関与を限定的にするなど東芝の意向に沿う形の新たな提案を示し、巻き返しを図っています。さらに、台湾のホンハイ精密工業も買収に意欲を見せています。
ただ、ウエスタンデジタルは、ほかのグループへの売却を阻止するため、裁判所に申し立てを行っていて、裁判所の判断しだいでは、売却が成立しなくなる懸念は残ったままです。
このように売却交渉は、駆け引きが激しさを増していて、東芝が来週までに売却先を決められるかは一段と不透明になっています。
-- NHK NEWS WEB