今月9日、台湾東部の渓谷の道路で、自転車のロードレースの練習中に落石に遭って死亡した日本人の男性を追悼しようと、ニュースなどで男性の死を知った台湾の自転車愛好家たちが自転車で走行しながら現地を離れる遺族を見送りました。
静岡県浜松市出身で会社員の白井寛之さん(35)は今月9日、自転車のロードレースに出場するため訪れていた台湾東部・花蓮県の渓谷の道路で練習中に落石に遭い、頭などを強く打って3日後に亡くなりました。
日本から駆けつけた父親が16日、白井さんの遺骨とともに帰国するため遺骨が置かれた病院を訪れたところ、白井さんを追悼しようと台湾の自転車愛好家およそ50人が集まっていました。
集まった人たちは白井さんと面識はありませんが、ニュースなどで白井さんの死を知り、仲間に呼びかけ合ったということです。
集まった人たちを前に、父親の良一さん(67)は、「息子は事故で命を失い、親として耐え難い悲しみです。しかし大好きな自転車に乗り、美しく愛がいっぱいの台湾で命を落とし、息子にとっては幸せだったと思います。ありがとう」と、感謝の言葉を述べました。
白井さんのカメラには、事故当日に訪れた台湾の渓谷や海岸の写真が収められていて、事故に遭う1時間ほど前に撮影されたと見られる最後の写真は、笑顔の白井さんの姿だったということです。
集まった人たちは、自転車に乗って遺族を乗せた車を駅まで先導し、車が駅に到着すると、手を合わせたり一礼したりして見送りました。
自転車愛好家の男性は、「私たちができる方法で白井さんを見送り、哀悼の意を示したかった。機会があれば、亡くなった白井さんと一緒に自転車で走ってみたかった」と話していました。
-- NHK NEWS WEB