大手航空会社のANAホールディングスなどからの出資を受け、6年後の2023年に宇宙旅行の事業化を目指している名古屋市のベンチャー企業が、地上から宇宙空間まで飛行できる新型エンジンの実証実験に成功したと発表しました。宇宙旅行の大幅なコストダウンが期待できるということです。
名古屋市のベンチャー企業「PDエアロスペース」は、大手航空会社のANAホールディングスなどからの出資を受け、2023年の宇宙旅行の事業化を目指して、8人乗りの小型の宇宙輸送機の開発を進めています。
実証実験に成功した新型エンジンは、旅客機などに使われるジェットエンジンと宇宙ロケットに使われるロケットエンジンの2つの機能を併せ持つもので、20日は報道陣に燃焼試験が公開されました。
宇宙旅行に使われる機体の開発はアメリカの企業が先行していますが、宇宙空間まで到達するのにジェットエンジンとロケットエンジンの両方を使ったり、大型のロケットエンジンを使うなどしたりしていて、製造コストが高くなることが事業化の課題になっているということです。
今回の新型エンジンは、高度15キロまでは酸素で燃料を燃やす「ジェット燃焼」を行い、それ以上の高度ではロケットのように機体に搭載した酸素で燃やす「ロケット燃焼」に切り替えられるため、大幅なコストダウンが可能になるということです。
今後、実際に機体を開発するためには、今回の新型エンジンを複数組み合わせ推力を大きくしたエンジンの開発が必要だということで緒川修治社長は「1種類のエンジンによる飛行で、安全性が高まるとともに、コストを下げることができる。輸送機の完成まで先は長いが、大きな一歩だ」と話していました。
-- NHK NEWS WEB