大手広告会社「電通」が社員に違法な残業をさせた罪に問われている事件の初公判が開かれ、山本敏博社長は違法な残業だったことを認め、謝罪しました。検察は3年前に電通が労働基準監督署から是正勧告を受けたあとも抜本的な対策を取っていなかったと指摘し、罰金50万円を求刑しました。
電通は新入社員だった高橋まつりさん(当時24)が過労のため自殺したことをきっかけに捜査を受け、高橋さんなど社員4人に違法な残業をさせたとして労働基準法違反の罪に問われています。
検察は非公開の略式の手続きで電通を起訴しましたが、裁判所は公開の法廷で正式な裁判を開くことを決め、22日午前11時から東京簡易裁判所で初公判が始まりました。
被告の代表として法廷に出た電通の山本敏博社長は違法な残業だったことを認めました。
そして「以前から問題があったが改善を果たせず、このような事態に至った。社長として責任の重さを痛感している。ご迷惑をおかけした方に心からおわび申し上げます」と述べました。
また「以前は仕事に時間をかけることがサービス品質向上につながり、顧客の要望にこたえることになると思っていたが、社員が心身ともに健康であることが品質の向上になると考え、改善に取り組んでいる」と説明しました。
検察は、3年前に電通が労働基準監督署から是正勧告を受けたあとも抜本的な対策を取っていなかったと指摘し、罰金50万円を求刑しました。
裁判は22日で審理が終わる予定です。
-- NHK NEWS WEB