東京工業大学は、ノーベル賞を受賞した大隅良典さんが基礎研究の重要性を訴えていることを受けて、若い研究者が行う基礎研究を支援するための新たな基金を設立することを決めました。
ことしのノーベル賞の授賞式は、11日未明、ストックホルムで行われ、東京工業大学栄誉教授の大隅良典さんが、長年の基礎研究によってオートファジーと呼ばれる細胞のリサイクルの仕組みを解明し、ノーベル医学・生理学賞を受賞しました。
大隅さんは、国立大学などに配分される運営費交付金が削減され、基礎研究を行う若い研究者が研究費を獲得できにくくなっている現状について、「科学の進歩には、本当に広いすそ野が必要で、いろいろなところから小さい芽が育っていくことなしに、大きな塔が立つことはない。心ある研究者にお金が回るシステムが大事だ」と訴えてきました。
これを受け東京工業大学は、企業や個人から寄付を募り、独自性の高い基礎研究を行う若手の研究者を支援する新たな基金を来年3月までに設立することを決めました。
当面、数千万円を募り、若手研究者10人ほどの基礎研究を支援できる体制から始めたいとしています。
東京工業大学の三島良直学長は「基金を設立することで、大隅教授のような研究者を育てていく土壌作りを進めたい」と話しています。
-- NHK NEWS WEB