独り暮らしの高齢者の見守りなど地域の福祉を担う民生委員が今月1日に一斉に改選されたことを受け、NHKが各都道府県などに取材したところ、全国で8700人余りが不足していることが明らかになりました。核家族化や高齢化が進み、年々、役割も大きくなる中で、欠員の数はこの10年で2.8倍に増えていて、どう確保していくかが課題となっています。
民生委員は厚生労働大臣が委嘱する非常勤の地方公務員で、独り暮らしの高齢者や生活保護世帯といった住民の相談に乗り、必要な行政サービスにつなげるなど、ボランティアで地域の福祉を担っています。今月1日に3年ごとの改選を迎えたことを受けて、NHKでは、各都道府県と政令指定都市、それに中核市に取材しました。
その結果、1日の時点で全国で23万7140人の定数に対し、8724人の欠員が出ていることが明らかになりました。これは平成18年度末の2.8倍に上ります。
都道府県別に見ると、東京都が836人と最も多く、次いで大阪府が787人、神奈川県が677人、埼玉県が495人などとなっていて、都市部ほど欠員が多い傾向になっています。
不足の背景としては、核家族化や高齢化が進んで世帯数が増えていることや、年々、民生委員に求められる役割が増していることで、定数そのものが増えている事情もありますが、地域のつながりが希薄になり、活動に関心を持つ人が少なくなっていることを挙げる自治体も多く、年金の支給開始年齢の引き上げなどによって60歳を過ぎても働く人が増えたため、なり手が不足しているといった指摘も聞かれました。
各自治体では、PR活動に力を入れるとともに民生委員の活動をサポートするボランティアを活用するなど負担の軽減も図りながら、引き続き、確保を進めることにしています。
-- NHK NEWS WEB