東芝は、経営の再建に向けて半導体子会社をアメリカの投資ファンドを中心とする“日米韓連合”に2兆円で売却する契約を28日、正式に結びました。ただ、東芝と半導体事業で提携するアメリカのウエスタンデジタルは売却を阻止する構えで、売却が順調に進むかどうかはなお予断を許しません。
東芝は、経営再建に必要な資金を確保するため、半導体子会社の東芝メモリを、“日米韓連合”の中心であるアメリカの投資ファンド、ベインキャピタルのグループに売却する契約を28日正式に結びました。
売却額は2兆円で、ベインキャピタルが筆頭株主となり、アップルやデルなどアメリカの企業4社が議決権を持たない形で資金を拠出します。
国内からは、東芝自身と光学ガラスメーカーのHOYAが出資し、この2社で議決権の50.1%を確保します。
一方、韓国の半導体メーカー、SKハイニックスは、各国の競争法の審査を通りやすくするため、出資ではない形で資金を拠出し、その後も10年間は15%を超える議決権は保有しないとしています。
そして、東芝と半導体事業で提携するウエスタンデジタルが、今回の売却を阻止しようと、国際仲裁裁判所に申し立てを行っている問題が解消した時点で、日本の官民ファンドの産業革新機構や日本政策投資銀行も出資して、引き続き、日本勢が経営の主導権を握る方向で検討します。
東芝としては早期に売却を進めて、来年3月末までに債務超過を解消し、株式の上場を維持したい考えです。
ただ、売却の実現に向けては、国際仲裁裁判所の判断のほか、各国の競争法の審査を早期にクリアできるかや、来月の株主総会で株主の承認を得られるかといった課題が残されていて、売却が順調に進むかどうかはなお予断を許しません。
-- NHK NEWS WEB