ことし3月、東京オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムとなる新国立競技場の建設現場で働いていた男性が自殺した問題で、労働基準監督署は、違法な長時間労働をさせていたとして男性が働いていた都内の建設会社に是正勧告を行いました。また、元請けの大手建設会社、大成建設の現場の事業所に対して労働者の健康確保をするよう行政指導しました。
ことし3月、新国立競技場の地盤改良工事の下請けに入っている都内の建設会社の新入社員だった23歳の男性が自殺し、遺族は過重労働が原因だとして労災を申請していました。
遺族の弁護士によりますと、建築資材の品質管理などにあたっていた男性は自殺直前の1か月間の時間外の労働時間がおよそ200時間に上っていたほか、計画の見直しによる工期の遅れを取り戻そうと精神的に追い詰められた結果自殺したということです。
これを受けて厚生労働省は、新国立競技場の建設に携わるおよそ800社について労働時間の調査を行った結果、男性が働いていた建設会社は、男性を含む複数の従業員に違法な長時間労働をさせていたことがわかったということで、労働基準監督署は28日、この会社に対して是正勧告を行いました。
また、調査の結果、別の複数の企業でも違法な長時間労働などの違反が見つかったということで、労働基準監督署は元請けの大成建設の新国立競技場の工事現場の事業所に対して、労働者の健康を確保するよう行政指導にあたる「指導票」と呼ばれる文書を交付しました。
-- NHK NEWS WEB