自民党は、衆議院選挙の政権公約を発表し、北朝鮮の脅威から国民の生命と財産を守り抜くことや、消費税の使いみちを見直し、子育て世帯へ投資を集中させることを打ち出しています。また、憲法改正を初めて公約の重点項目に位置づけ、具体的な改正項目として、自衛隊の明記など4項目を明示しています。
自民党は、2日夕方、岸田政務調査会長が記者会見し、衆議院選挙の政権公約を発表しました。
政権公約では、「この国を、守り抜く」をスローガンに掲げ、まず、北朝鮮問題について、弾道ミサイルの相次ぐ発射や核実験の強行など挑発行為がエスカレートし、重大かつ差し迫った脅威となっているとして、「このようなときこそ、世界をリードできる経験豊かで安定した政権が必要だ」と強調しています。
そのうえで、北朝鮮への国際社会による圧力強化を主導し、すべての核・ミサイル計画を放棄させることを目指すとともに、拉致問題の解決に全力を尽くすとしています。また、日米同盟をより一層、強固にすることで、抑止力を高めるとともに、日本のミサイル対処能力の強化をはじめ、国民保護を最優先に対応し、国民の生命と財産を守り抜くとしています。
経済政策については、これまで進めてきたアベノミクスにより、雇用などの多くの指標で日本の経済は確実に回復しているとして、この流れを確かなものにするため、政府が掲げる「生産性革命」と「人づくり革命」を断行することで力強い消費を実現し、経済の好循環を完遂するとしています。
そして、「生産性革命」の実現に向けて、ロボットや、あらゆるものをインターネットでつなぐ「IoT」、AI=人工知能といった技術を活用するため、2020年までの3年間を「集中投資期間」として、税制や規制改革などを通じ、企業の収益を設備や人材への投資に振り向けるとしています。
また、「人づくり革命」を進めるため、再来年10月に消費税率を10%に引き上げた際の増収分の使いみちを見直し、子育て世帯へ投資を集中することで、「全世代型社会保障」にかじを切るとしています。
具体的な使いみちとしては、2020年度までに、3歳から5歳までのすべての子どもの幼稚園や保育園の費用を無償化することや、所得の低い家庭の子どもに限定して高等教育の無償化を図るため、給付型奨学金や授業料の減免措置を大幅に拡充することなどを盛り込んでいます。
一方、憲法改正を初めて公約の重点項目に位置づけ、「国民の幅広い理解を得つつ、衆参両院の憲法審査会で議論を深めて各党とも連携し、憲法改正原案を国会で提案・発議し、初めての憲法改正を目指す」としています。
そして、具体的な改正項目として、党内で議論してきた『自衛隊の明記』、『教育の無償化・充実強化』、『緊急事態対応』、『参議院の合区解消』の4項目を挙げていますが、具体的な改正案の条文やスケジュールを盛り込むことは見送られました。
-- NHK NEWS WEB