大手広告会社「電通」が社員に違法な残業をさせたとして労働基準法違反の罪に問われた裁判で、東京簡易裁判所は「違法な長時間労働が常態化し、サービス残業がまん延していた」などと指摘し、罰金50万円の判決を言い渡しました。
電通は新入社員だった高橋まつりさん(当時24)が過労のため自殺したことをきっかけに捜査を受け、高橋さんなど社員4人に違法な残業をさせたとして労働基準法違反の罪に問われました。
検察は非公開の略式の手続きで電通を起訴しましたが、裁判所の判断で公開の法廷で審理されました。
判決で東京簡易裁判所の菊地努裁判官は「違法な時間外労働で尊い命が奪われる結果まで生じていることは見過ごすことができない」と指摘しました。
そのうえで「違法な長時間労働が常態化し、労働組合との協定の上限を超えていた従業員が毎月1400人ほどいた時期もあった。労働基準監督署から是正勧告を受けたあともオリンピック関連の受注を失うのを避けるために形式的な対応に終始し、労働時間削減の具体的な対応は従業員や部長任せでサービス残業がまん延していた。会社の刑事責任は重い」として、検察の求刑どおり法人としての電通に罰金50万円を言い渡しました。
最後に裁判官は「労働時間の改善計画が徹底されるのか社会全体が注目しています。業界を代表する会社として相応の役割を期待したい」と語りかけました。
判決のあと山本社長は、高橋まつりさんの母親が座っていた傍聴席に向かって一礼し、法廷をあとにしました。
-- NHK NEWS WEB