ことしの「過労死白書」がまとまり、労災として認定された過労死や過労自殺が昨年度191件に上り、この15年間高止まりの状態が続いていて、厚生労働省は長時間労働の是正が喫緊の課題だと指摘しています。
「過労死等防止対策白書」=「過労死白書」は3年前に施行された過労死防止法に基づき厚生労働省が去年から始めたもので、6日ことしの白書が公表されました。
それによりますと、労災として認定された過労死や過労自殺は昨年度191件に上りました。
過労死や過労自殺による労災は平成14年度以降の15年間で年間169件から224件と高止まりの状態が続いています。
また過労死や過労自殺の主な原因の一つとされる長時間労働について、フルタイムで働く人の去年1年間の総労働時間は2024時間と、平成5年以降1年間を除いて2000時間を超える状態が続いています。
また週に20時間以上の時間外労働をした労働者は、働く人の7.7%に上りました。
これは同じペースで1か月間働いた場合「過労死ライン」と呼ばれる月80時間を超えることになります。
厚生労働省が調査したところ、企業が正社員の労働時間を正確に把握した場合は、把握していないケースに比べて1週間当たりの残業時間が6時間余り少なくなったということです。
さらに残業の前に本人が申請をして所属長が承認することなども残業時間の減少に効果があったということです。
厚生労働省は長時間労働の是正が喫緊の課題だと指摘したうえで「長時間労働やハラスメントなどにより強いストレスを感じている人は依然として多い。過労死などをゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会を実現するため、労働時間削減のための指導や企業への啓発を進めたい」としています。
-- NHK NEWS WEB