事業の縮小などにともなって、企業がリストラする従業員の再就職を支援した場合に国から支給される助成金について会計検査院が調べたところ、従業員がみずから再就職先を見つけるなどして支援を必要としなかった場合にも助成金が企業に支給され、およそ5000万円が不適切に支出されていたことがわかりました。
企業が事業の縮小などにともなって従業員をリストラする際に、民間の人材会社に委託して再就職を支援した場合、国は企業に対し支援の開始費用として1人当たり10万円、支援後に従業員が再就職を決めた場合などに1人当たり最大で50万円を助成しています。
これらは「労働移動支援助成金」と呼ばれるメニューの1つで、国は平成26年度に予算額を増額し、昨年度の支給実績はおよそ20億6700万円に上っています。
会計検査院が助成金が適切に支出されているか調べたところ、退職前に自力で再就職先を見つけた従業員や、介護や育児などですぐに再就職する意志のない従業員など支援を必要としなかったケースでも企業に助成金が支給されていたことがわかりました。
こうした不適切な支出は、昨年度までの3年間でおよそ200人分、合わせて5000万円に上っていたということです。
厚生労働省が従業員が人材会社の支援を受けなかった場合や、再就職の意志がない場合には助成の対象から外すなど要件を明確にしていなかったことが原因だということです。
会計検査院は、厚生労働省に対し制度を見直し不適切な支出をなくすよう求めることにしています。
-- NHK NEWS WEB