政府系金融機関の商工中金は25日午後、記者会見を開き、不正融資問題の責任を取って経済産業省の元事務次官の安達健祐社長が後任のめどがついた段階で退任することや、不正を行うなどした職員800人余りの処分を明らかにしました。
商工中金は、国の中小企業を支援する制度の「危機対応融資」をめぐる不正融資について内部調査の結果をまとめ、25日午後、都内で記者会見しました。
それによりますと、不正な融資は、制度が始まった平成20年度以降、全国の100店舗のうち97店舗で行われ、件数は合わせて4609件、融資の実行額は合わせて2646億円余り、関与した職員は退職者を含めて444人に上るとしています。
これについて、商工中金の安達健祐社長は会見で、「組織の信頼を根底より揺るがすもので、取引先をはじめ多大なるご迷惑をおかけしていることを心よりおわび申し上げます」と述べ、陳謝しました。
そのうえで、一連の責任を取ってみずからの月額報酬を6か月間、100%カットするほか、不正を行うなどした職員合わせて813人の処分を明らかにしました。
さらに、経済産業省の事務次官経験者で前社長の杉山秀二氏をはじめ、社長、副社長などを務めた7人の元経営幹部に対し、過去に受け取った報酬の一部を返納するよう求める処分も明らかにしました。
安達社長は会見で、「トップとして極めて重い責任があり、適切な時期に社長の職を退く。組織の解体的出直しに取り組み、なるべく早く後任に交代したい」と述べ、後任のめどがつくなどした段階で退任する考えを明らかにしました。
また、不正の背景については、経営陣や本部が業績を上げるよう現場に過度なプレッシャーを与えたことや、重要な事柄を関係する役員が非公式に決め、取締役会が形式的な報告の場になるなど、組織体制に問題があったことなどを挙げました。
今回の内部調査では、ほかにも、景気動向の調査の際、企業から聞き取りをせずに勝手に調査票を作成した不正や、別の融資をめぐる書類の改ざんや顧客の印鑑の偽造があったことも明らかになったとしており、法令順守が根底から問われる事態になっています。
-- NHK NEWS WEB