土地の所有者がわからず放置されている「所有者不明土地」について、国土交通省は、NPOや企業が5年間、供託金を納めたうえで、その土地を地域のイベントや防災など公共性の高い事業に利用できるようにする対策案を示しました。
土地の相続の際に登記が更新されず所有者がわからなくなっている「所有者不明土地」は、民間の研究会の推計で、全国で九州の面積を超えるとされています。
現在の法律では、原則としてこうした土地は所有者全員の了解がなければ買収することなどもできず、放置されるため、深刻な社会問題となっています。
国土交通省は、25日に開かれた専門家会議で、こうした所有者不明土地を土地の所有者が見つからなくてもNPOや企業が利用できるようにする新たな対策案を示しました。
具体的には、地域のイベントや防災など公共性の高い事業であれば、その土地を5年間に限り利用可能にするとしています。そして、所有者が見つかった場合に備え、賃料を法務局に供託金という形で預ける仕組みを検討するとしています。
さらに、5年たっても所有者が見つからない場合は、利用期間の延長も可能にするということです。
一方、国や自治体などがこうした土地を公共事業で利用する場合は、現在の土地収用法に基づく手続きを簡略化するとしています。
国土交通省は、年末までに正式に対策案をまとめ、来年の通常国会に法案として提出することにしています。
-- NHK NEWS WEB