従来の放射線治療よりもがん細胞を正確に狙い撃ちできるという「量子メス」と呼ばれる次世代のがん治療装置の開発を目指し、国の研究機関と大手メーカー各社が協力することになりました。
開発で協力するのは、国の研究機関、量子科学技術研究開発機構と、住友重機械工業、東芝、日立製作所、三菱電機の大手メーカー4社で、13日に都内で記者会見しました。
量子科学技術研究開発機構と4社が「量子メス」と呼ぶこの次世代のがん治療装置は、放射線の一種の重粒子線をがん細胞に直接、照射して死滅させるもので、従来の放射線治療よりもがん細胞を正確に狙い撃ちできるということです。
重粒子線のがん治療装置は、すでに国内5か所の医療機関で実用化されていますが、加速器と呼ばれる大がかりな施設が必要で、小型化とコストの高さが課題でした。
共同開発では、加速器を病院の建物の中に置けるように新たな技術で小型化したうえで、がんの種類によっては外科手術に置き換わる治療方法として、10年後の実用化を目指すとしています。
量子科学技術研究開発機構の平野俊夫理事長は「量子メスの早期実現によってがんによる死亡がゼロになる社会を目指したい」と話していました。
-- NHK NEWS WEB