安倍総理大臣はアメリカのトランプ大統領と日米首脳会談に臨み、北朝鮮に対して最大限の圧力をかけるため中国やロシアなど関係国に働きかけを強めていくことで一致するとともに、日米同盟の抑止力や対処力の強化に取り組むことを確認しました。また、トランプ大統領は貿易不均衡の是正などに強い期待を示し、日米経済対話の場で2国間の貿易や投資の在り方などを引き続き議論していくことで一致しました。
安倍総理大臣とアメリカのトランプ大統領は、東京・港区元赤坂の迎賓館で、トランプ大統領の就任後、5度目となる日米首脳会談を行いました。
会談は、ワーキングランチと合わせておよそ1時間45分行われました。
この中で、安倍総理大臣が「今回のトランプ大統領の訪日で日米同盟をさらに確固たるものにしたい」と述べたのに対し、トランプ大統領は「私は特に貿易について強い信念を持っており、貿易赤字を減らし公平な貿易を行いたい」と述べました。
そして、両首脳は、北朝鮮情勢をめぐって、日米両国が100%ともにあるとして、北朝鮮に対し最大限の圧力をかけるため中国やロシアなど関係国に働きかけを強めていくことで一致するとともに、地域の安全保障情勢が厳しさを増す中で、日米同盟の抑止力や対処力の強化に取り組むことを確認しました。
また、安倍総理大臣が、北朝鮮に対する日本独自の制裁措置を強化するため35の団体と個人の資産凍結を行う方針を伝えたのに対し、トランプ大統領は歓迎する意向を示しました。
さらに、トランプ大統領は、北朝鮮のテロ支援国家への再指定について検討状況を説明しました。
一方、日米の貿易や投資などをめぐって、トランプ大統領が貿易不均衡の是正などに強い期待を示したのに対し、安倍総理大臣は、アメリカの貿易赤字に占める対日貿易赤字の比率がかつての6割近くから1割以下まで減少したことや、日本企業の直接雇用が製造業を中心に全米で86万人に上っていることなどを説明しました。
そして、両首脳は、麻生副総理兼財務大臣とペンス副大統領による日米経済対話の場で、アジア太平洋地域の貿易・投資の高い基準作りを含めて、2国間の貿易や投資の在り方を引き続き議論していくことで一致しました。
政府関係者によりますと、一連の会談で、トランプ大統領から日米のFTA=自由貿易協定などへの言及はなかったということです。
また、両首脳は、自由で開かれた海洋秩序の重要性を確認したうえで、安倍総理大臣が先に提唱した「自由で開かれたインド太平洋戦略」をともに推進することで一致し、インド洋から太平洋にかけての海域で、法の支配や航行の自由の定着などに、各国と協力して取り組んでいくことを確認しました。
-- NHK NEWS WEB