水素と酸素を反応させて発電する燃料電池で動き、二酸化炭素などを排出しない最先端の電車の試験走行が、来年、世界で初めて営業運転が始まる予定のドイツで公開されました。
ドイツ北部のザルツギッターにある工場で、10日、報道陣に試験走行が公開されたのは、フランスの大手鉄道車両メーカー「アルストム」が開発を進めてきた電車です。
この最先端の電車は、充てんした水素を空気中の酸素と反応させて発電する燃料電池で動き、走行時に二酸化炭素などの排気ガスを出しません。また、最高時速は140キロに達し、水素を満タンにすれば、1000キロの距離を走ることができるということです。
世界で初めてとなる営業運転は、来年前半にドイツ北西部のニーダーザクセン州で始まる予定で、数年後には、燃料の水素をすべて再生可能エネルギーでつくる計画です。
EU=ヨーロッパ連合などによりますと、ヨーロッパの鉄道は、路線の半分近くが電化されずにディーゼル車両が走っています。
「アルストム」は、地球温暖化への対応が迫られる中、ドイツ以外のヨーロッパの国々でも需要が見込まれるとしています。「アルストム」は、NHKの取材に対し、「この電車や水素の技術は世界中で利用でき、日本やカナダでも需要がある」として、今後の普及に期待を示しました。
-- NHK NEWS WEB