原子力発電所の廃炉に伴って大量に発生する、ほとんど放射性物質を含まない廃棄物について、今後、発電所の敷地などに置き場が減り、廃炉の作業に支障が出るおそれがあることから、電力会社で作る団体が、複数の原発から出る廃棄物をまとめて保管する施設を原発の外につくる案を検討していることがわかりました。
福島第一原発の事故のあと運転期間を原則40年とする制度が始まり、全国の原発で廃炉を決めたのは、福島第一原発を除き、事故の前のものを合わせて7原発9基に上ります。
廃炉作業では、一般的な大きさの原発の場合、コンクリートや金属など50万トン前後の廃棄物が発生しますが、ほとんど放射性物質を含まないものも多く、国や電力会社では再利用することにしています。
ただ、再利用は進まず、先行して廃炉作業が行われている茨城県の東海原発では、11年前に、ほとんど放射性物質を含まない廃棄物の一部の2000トンが国に認可されたものの、このうち230トンしか再利用されておらず、敷地で保管されている状況です。
こうした中、電力会社で作る電気事業連合会は、今後、廃炉に伴ってこうした廃棄物がさらに発生し、発電所の敷地などに置き場が減って廃炉の作業に支障が出るおそれがあることから、複数の原発から出る廃棄物をまとめて保管する施設を原発の敷地外につくる案を検討していることがわかりました。
施設では放射性物質の測定を一括して行うなどし、国の認可や確認の手続きで効率化などが図られるとしています。
電気事業連合会は「現段階で具体性はなく、選択肢の一つだが、大量に発生する廃棄物を合理的に処理するための方策は必要だ」と話しています。
-- NHK NEWS WEB