ネパール政府は中国企業と進めていた国内最大規模の水力発電所の建設計画を中止すると発表しました。この決定は歴史的につながりの深いインドとのバランスを取ったという見方もあり、ネパールへの影響力を強める中国の今後の事業への影響も予想されます。
ネパール政府は13日行われた閣議で、中国企業と進めていた国内最大規模の水力発電所の建設計画について中止することを決めたと発表しました。
計画では慢性的な電力不足を解消するため中部にあるブディガンダキ川に総事業費25億ドル、日本円にして2800億円余りの水力発電所を建設する予定で、ことし6月に双方が合意していました。しかし、この中国企業が競争入札を経ずに事業を受注したことから手続きが不適切だとして議会からの批判が強まっていました。
中国とインドの両方に接し、戦略的に重要な位置にあるネパールでは、歴史的に関係の深いインドが経済支援を続けるなど影響力を発揮してきました。しかし、最近は中国が鉄道や道路などのインフラ整備を支援するなど急速に存在感を高めていて、ことし5月には、両政府は中国が提唱する巨大経済圏構想「一帯一路」に協力することで合意しています。
このため今回の計画の中止は影響力を強める中国とこれを警戒するインドとのバランスを取ったという見方も出ており、中国にとっては今後のネパールでの事業への影響も予想されます。
-- NHK NEWS WEB