中小企業庁は、中小企業の経営環境を改善して賃上げにつなげようと、下請け企業で人件費が上昇した場合、取り引きのある大手企業がコストを一部負担するよう求めていくことになりました。
中小企業は日本経済で雇用の大きな受け皿となっていますが、経営環境が厳しいところも多く、賃上げの動きは大手ほど広がっていません。
このため、中小企業庁は大手企業と下請けの中小企業との適正な取り引きの在り方を定めた「下請中小企業振興法」の基準を3年ぶりに改正し、賃上げを後押しすることになりました。
具体的には中小企業で、人手不足を背景にした人件費の上昇や、部品の製造に欠かせない金型を長期間保管することなどでコストが増加した場合は、取り引きのある大手企業が一部を負担するよう求めています。
また、大手企業が下請け企業に対して製造コストを引き下げるよう要請する際は、一方的に数値目標を示すのではなく十分協議を行うことも求めています。
さらに、大手企業が下請け企業に代金を支払う際は「手形」ではなく、できるかぎり現金で支払うよう求めています。
これについて、世耕経済産業大臣は記者団に対し「これから年度末は下請け企業にとって来年度の取り引き条件が決まる非常に重要な時期になる。まずは発注元の親事業者に周知徹底を図りたい」と述べました。
-- NHK NEWS WEB