食生活などが原因ではなく、免疫の異常などで発症するとされる「1型糖尿病」の患者たちが、医療費の一部として活用してきた障害基礎年金の支給を一方的に打ち切られたのは違法だとして、国に対し決定の取り消しを求める訴えを大阪地方裁判所に起こしました。
国を訴えたのは、大阪や奈良などに住む「1型糖尿病」の患者9人で、20日に大阪地方裁判所を訪れ書面を提出しました。
「1型糖尿病」は、生活習慣が原因の「2型糖尿病」とは違い、免疫の異常などで発症するとされる病気で、国内に少なくとも数万人の患者がいると見られています。血糖値を下げるインシュリンの注射が欠かせませんが、成人の患者には医療費の助成制度がなく、障害基礎年金を医療費の一部として活用してきました。
しかし、訴えによりますと、国は去年12月、9人の患者への障害基礎年金の支給を、理由を明らかにしないまま、一方的に打ち切ったということで、国の決定は違法だとして決定を取り消すよう求めています。
原告の弁護団によりますと、1型糖尿病の患者が国に対し集団提訴したのは初めてと見られるということです。
原告の1人の滝谷香さん(35)は記者会見で、「突然、支給が停止されたのはどうしてなのか。日々の生活に医療費は欠かせないし、合併症を起こすおそれもあるのでとても不安だ」と話しました。
一方、厚生労働省は「訴状が届いていないのでコメントできない」としています。
-- NHK NEWS WEB