流通業界などで働く人が客から悪質なクレームにあった際の対応を学ぶセミナーが都内で開かれ、専門家は「従業員が1人で抱え込まないよう経営側が『孤立させない』というメッセージを出すことも重要だ」と指摘しました。
スーパーマーケットや百貨店、コンビニエンスストアといった流通業界で働く人などの労働組合で作るUAゼンセンが東京・千代田区で開いたセミナーにはおよそ70人が参加しました。
UAゼンセンがことし、組合員を対象に初めて調査した結果、悪質なクレームなどの迷惑行為を受けたことがあると回答した人は5万人余りのうち3万6000人と全体の70%に上り精神疾患になった人も359人いたということです。
セミナーでは悪質クレームの対策に詳しい深澤直之弁護士が「企業はお客様第一主義にとらわれて我慢しすぎだ」としたうえで、「断るべきことは断り、警察や弁護士を交えて対応することも必要だ。クレームを受けた従業員が1人で抱え込まないよう経営側が『孤立させない』というメッセージを出すことも重要だ」と指摘しました。
UAゼンセンの森田了介さんは「この問題は流通業だけではなくサービス業などさまざまな業界で起きている。客も従業員もともに尊重される社会になるよう働きかけていきたい」と話していました。
-- NHK NEWS WEB