日本国内でおよ4500万人が利用するツイッター。神奈川県座間市のアパートで9人の遺体が見つかった事件では、容疑者がツイッターを通じて被害者を誘い出していました。ツイッター上には在日外国人などへの差別、「ヘイトスピーチ」もあふれています。ツイッターは影響力が拡大する一方で、課題も浮かび上がっています。創業者の1人、ジャック・ドーシーCEOがテレビカメラの前で、初めてインタビューに応じました。巨大メディアの“生みの親”は何を語ったのか、インタビューの全文を掲載します。(聞き手:「クローズアップ現代+」武田真一キャスター)
Q
きょうは新しいコミュニケーションの形を作ったドーシーさんに、ツイッターのアイデアの源は何だったのか。ツイッターにあふれる過激な言葉と表現の自由をどう折り合いを付けるのか。そして、政治や世界情勢を動かすまでになったネットのコミュニケーションは将来どうなっていくのか、これらについて質問したいと思います。
ドーシー氏:
ツイッターの役割は、世界で起きていることを示すということです。国内で起こっていることを共有したり、都市や地域や近所で起きていることを共有するということです。
時には気に入らない出来事があるかもしれません。必ずしも楽しいことばかりではありませんから。
でもそれが現実というものです。実際に人々が目にし、感じ、考えていることなのです。だから、世界で起こっていることを理解することがとても大事だと考えます。
人々が考えていることを理解し、問題を認識し、指摘するのです。私たちは、常に、当社のサービスを前向きな発展のために利用して欲しいと思っていますが、そこにたどり着くために、多少はマイナスな面も通る必要があると思っています。
それもまた世の中の現実です。ネット上でもそれは変わりません。ネットではより多くの人が参加しやすくなり、よりスピード感のある参加ができます。
技術によって速度は増し、それと共に新しい困難も生まれますが、それは現実の中で起こっている他のすべてのこととは違います。
同時に当社は、人々がこれらのツールを生産的かつ責任感を持って使用することに対して責任があります。
時には間違うこともありますが、常に間違いから学び、間違いを認識することで、日々、サービスの向上を目指しています。
Q
まずツイッターの原点からおうかがいします。
そもそもツイッターの核となるアイディアをどうやって思いついたのでしょうか。何を目指してツイッターが生まれたのでしょうか?
ドーシー氏:
(僕の)他に、ビズとエヴという2名の創業者がいます。僕たちは同じ問題に対してそれぞれ違う解決法を持っていました。
僕は世界の仕組みにとても興味をもっていました。世界を発見したいと思いました。
僕の元々の専門は救急搬送車、配達車、タクシーなどの派遣用ソフトウエアの設計でした。それらの車両が、自分の町や、最終的にはマンハッタンを走る姿も見ることができました。
ビズとエヴはボタン一つで、いつでも、誰でも、全世界に向けて記事を発信するシステムを作りたいと考えていました。
そして僕たち全員が出会い、SMSというテキストのメッセージングという完璧な技術を発見しました。
僕たちは2週間で、互いに考えている内容をシェアできるプロトタイプを作成しました。それを会社の同僚や友人たちに配布し、その友人たちが、そのまた友人たちに配布し、少しずつ新しい形で発信されていきました。
現在は、自分に起こっていることだけではなく、世界で何が起こっているかがわかります。世界で起こっていることに対して、とても多くの社会的なコメントを見ることができるんです。
今、人々はツイッターを使って、他人がどこで何に時間を費やしているのかを見ることができます。また、ツイッターは地球上のほぼ誰とでも会話をすることができる素晴らしい方法です。
それは、とても重要なことでもあります。なぜかというと、ツイッターの使用によって、人々の進化を助けてきたからです。それは、政府の立場からも、社会的な立場からも、個人的にも言えることです。
すべてはツイッターがオープンなSNSだからですが、会社を立ち上げてサービスを開始したときには、今の使われ方を想像もしませんでした。
誰しも、重要な事をすべて理解してから始めるものではないでしょう。やりながら学んでいくものです。
時間をかけて、それが望む姿を知るんです。僕たちはそれを成し遂げました。
-- NHK NEWS WEB