日本と中東のイスラエルの両政府は、日本企業がアラブ諸国からの制裁を警戒してイスラエルとの取り引きに慎重な姿勢をとってきた状況を変えようと、イスラエルのインフラ事業に日本企業が参入できるよう覚書を交わす見通しになりました。
中東では、長年イスラエルとアラブ諸国が対立してきたため、日本企業はイスラエルとの関係を深めるとアラブ諸国から経済制裁を受けかねないと警戒し、慎重な姿勢をとってきました。
こうした状況を変えようと、日本とイスラエルの両政府は、近く覚書を交わす見通しになりました。
覚書は、日本企業のインフラ輸出を後押しする官民ファンド、JOIN=「海外交通・都市開発事業支援機構」とイスラエルの経済産業省との間で交わされる予定で、イスラエル側は、国内のインフラ事業の入札情報を提供し、日本側は企業を紹介します。
イスラエルでは、経済成長や人口の増加を背景に、日本円で総額2兆円を超える高速鉄道や地下鉄の建設計画が進められ、中国やフランスの企業が受注しており、日本企業にも参入の機会が広がります。
近年、中東の対立の構図は、イスラム教の宗派間の対立などでより複雑になっていることもあり、アラブ諸国はイスラエルと取り引きをする企業の動向に以前ほど過敏ではなくなっています。
26日夜、来日したイスラエルのコーヘン経済産業相は、NHKのインタビューで、「アラブの近隣諸国とはよい関係を築いており、経済分野での協力は、皆の利益になる。日本企業にとっても進出しやすいはずだ」と述べ、期待を示しました。
-- NHK NEWS WEB