中東のサウジアラビアで王族らが汚職の疑いなどで次々と拘束された事件で、欧米の複数のメディアは、事件を主導しているムハンマド皇太子の抵抗勢力と指摘されてきた王子が、不正に関わったことを認めたうえで1000億円以上の資産の没収に応じ、釈放されたと伝えました。
サウジアラビアでは、政財界に影響力のある多数の王族や実業家らが汚職の疑いなどで当局に次々と拘束され、関係する銀行口座が凍結されました。
欧米の複数のメディアは、拘束された王族のうち、治安機関の1つ、国家警備隊のトップを務めてきたムトイブ王子が、容疑を認めたうえ、汚職で得た1000億円以上の資産の没収に応じ、釈放されたと伝えました。
ロイター通信によりますと、ムトイブ王子はみずからの会社に装備品を発注して利益を得るなど不正に関与したことを認めたということです。
ムトイブ王子はアブドラ前国王の息子で、かつて皇太子候補の1人と注目され、事件を主導しているムハンマド皇太子の王位継承に向けた抵抗勢力とされてきたため、今回の拘束劇が汚職の捜査という名目の粛清ではないかという指摘も出ていました。
サウジアラビア政府としては、ムトイブ王子を釈放することで粛清との指摘を回避し、汚職の一掃という捜査の正当性を強調したい狙いがあるものと見られます。
一方、拘束された実業家らの処遇は依然明らかになっておらず、金融関係者からは外国からの投資の冷え込みを懸念する声も出ています。
-- NHK NEWS WEB