NHKが総務省が公表した去年の政治資金収支報告書を調べたところ、国会議員が関係する10の政治団体が支出した合わせて217件分の領収書が「取得するのが難しい」という理由で提出されていなかったことがわかりました。しかしNHKが支出先に確認したところ、ほとんどが「領収書を発行できる」と説明していて、専門家は「政治資金の透明化の抜け穴になるのを防ぐため制度の見直しが必要だ」と指摘しています。
政治資金規正法は、国会議員が関係する政治団体が人件費を除いて1万円を超える支出をした場合は、原則として領収書を提出することが義務づけられています。
NHKが、総務省が30日公開した去年の政治資金収支報告書を調べたところ、当時の国会議員が関係する10の政治団体が支出した合わせて217件分の領収書が「取得するのが難しい」という理由で提出されていなかったことがわかりました。
提出されなかったのは、自民党や社民党などの国会議員が関係する政治団体が、宿泊先のホテルや事務所の家賃、ガソリン代などとして支出した合わせておよそ1600万円分の領収書です。
総務省がまとめた手引きなどでは、支出を受けた人が死亡したケースや、銀行振込の場合など領収書を取得するのが難しい事情があった場合、例外的に領収書を提出しないことを認めています。
しかし、NHKが領収書が提出されていなかった支出先のホテルや企業などに取材したところ、全体の8割以上が「領収書を発行できる」とか「請求書や明細書を送ることができる」と説明しました。
政治資金に詳しい駒澤大学法学部の富崎隆教授は、「たび重なる政治とカネの問題を受けて国会議員の政治団体は支出の透明化が強く求められていて、一般企業と同じレベルの経理処理が必要だ。例外的なケースが抜け穴になるのを防ぐため制度の見直しが必要だ」と指摘しています。
-- NHK NEWS WEB