自動車や家電製品などあらゆるモノがインターネットにつながる「IoT」が普及して、今後、製品の使用履歴など個人データが飛躍的に増えていく見通しです。こうした膨大な個人データを多くの企業が安全に共有できるようにして、新たなビジネスにつなげようという取り組みが動きはじめています。
このうち大手電機メーカーの富士通は、本人の同意を得て集めた個人データを、企業に有料で提供する「情報銀行」と呼ぶサービスの実験を始めました。
実験では、200人を超える社員から年齢や性別、家族構成といった基本的な情報のほかに、趣味や休日の過ごし方、「よく食事をする場所」や「引っ越しの予定があるか」といった、およそ500の質問に対する答えを集めました。
集めた回答を流通大手イオンの協力を得て分析し、企業にとってより役立つ質問内容などを検討しています。実際の事業化にあたっては、質問に答える抵抗感を減らすため、情報を提供する企業を自分で絞り込めるようにしたり、飲食店のクーポンなどを提供したりする方法を検討するということです。
実験の担当者の築山万里沙さんは「管理や活用のしかたによって、ビジネスチャンスが生まれると思う」と話していました。
一方、国内の電機メーカーやベンチャー企業などおよそ40社は、個人データなどの取り引きを活性化するため、先月、「データ流通推進協議会」という団体を立ち上げました。
この団体では、データを安全にやり取りするためのルールや、データを扱う企業を認定する制度を整備して、企業などがデータの取引市場を作る動きを後押しします。理事長を務める慶応大学の村井純教授は「安心安全にデータを使えるようにすることが重要だ」と話しています。
-- NHK NEWS WEB