東京 築地市場の移転先となる豊洲市場の安全対策工事について、東京都は入札の不調が相次いだため、一部で入札を断念し随意契約に切り替える方針を固めました。この入札は小池知事が着手した入札制度の改革に基づいて行われただけに、入札の断念により改革の在り方が問われることになりそうです。
小池知事は就任後、入札制度の改革に着手し、東京都は入札に参加する業者が複数いなかった場合は競争性に疑念を持たれるとして、入札を中止してやり直す「1者入札の中止」などの新しい運用をことし6月から試験的に導入しました。
しかし、築地市場の移転先となる豊洲市場で盛り土がなかったことの安全対策として行われる予定の工事では、入札への参加を希望する業者が1者またはゼロになったり、入札価格が予定価格を大きく上回ったりする不調が相次ぎました。都によりますと、特殊な技術が求められる工事などの場合には入札への参加を希望する業者が限られることがあり、不調の要因の1つとなっている可能性があるということです。
このため都は、来年10月の豊洲市場のオープンに間に合わないおそれがあるとして一部の工事について入札を断念し、特定の業者を選ぶ特命随意契約に切り替える方針を固めました。
対象となるのは先月27日に入札が不調となった工事で、関係者によりますと、交渉の相手は先の入札で都の予定価格を1億円以上、上回る価格を示した大手ゼネコンが有力となっていて、都は来週にも見積もりを依頼し、今月中に契約を結ぶことを目指しています。ただ、特命随意契約は入札に比べ透明性が低く、割高になるおそれも指摘され、今回、契約が成立した場合、都の予定価格よりも膨らむ可能性もあるということです。
小池知事が「高価格体質で透明性が低い」などとして改革に着手した制度に基づいて行われた入札で不調が相次ぎ、都が入札を断念したことにより、改革の在り方が問われることになりそうです。
-- NHK NEWS WEB