テレビやスマートフォンの画面として利用が拡大している「有機ELパネル」で、製造コストが飛躍的に下がる新しい技術による製品を、日本企業が世界で初めて出荷したと発表しました。現在、有機ELの市場をほぼ独占している韓国メーカーに対し、巻き返しに向けた1歩となるか注目されます。
新しい技術で生産された有機ELパネルは、日本の会社「JOLED」が、石川県にある施設で生産し、ソニーの医療用モニター向けに5日、世界で初めて出荷したと発表しました。
有機ELパネルは、光を放つ材料をパネルに密着させますが、現在、主流の「蒸着式」と呼ばれる方法は、大がかりな生産設備が必要になります。
これに対し、JOLEDが手がける「印刷式」は、画質は変わらずに製造コストを最大で30%下げることが可能だということです。
今後は、大規模な製造ラインでも安定して生産できるよう開発を続け、2年後の量産開始を目指すとしています。
有機ELパネルの市場は、資金力に劣る日本メーカーが、「蒸着式」の設備投資をためらったり、「印刷式」の量産技術の確立に手間取っている間に、スマートフォン向けは「サムスン」、テレビ向けは「LG」と、韓国メーカーがほぼ独占する状況になりました。
JOLEDなどの日本勢が、製造コストの安い「印刷式」での量産化に成功し、巻き返しを図ることができるか、注目されます。
会見で、田窪米治代表取締役は「今回の出荷は、われわれの成長の路線を具体化していく第1歩だと考えている。『印刷式』を標準的な技術にしていき、有機ELパネルの市場拡大に貢献していきたい」と述べました。
-- NHK NEWS WEB