国際競争力を高めるためとして政府が外国人留学生を積極的に受け入れる計画を進める中、留学生の受け入れ先となる日本語学校も全国で急増しています。NHKが調べたところ、この5年間だけで200校以上の日本語学校が新設され、建設業や人材派遣業など異業種からの参入も相次いでいることがわかりました。専門家は「人手不足に悩む日本社会が留学生を労働力として求めていることが日本語学校急増の背景にあるのではないか」と指摘しています。
政府は2020年までに、外国人留学生を30万人にまで増やす計画で、在留資格の要件を緩和するなどして留学生を積極的に受け入れています。
それに伴い留学生の受け入れ先となる日本語学校も全国で急増し、その数はことし過去最高の643校に上っています。
NHKが全国の日本語学校について詳しく調べたところ、この5年間だけで全体の3割にあたる206校が新設され、ことしに入ってからも80校が相次いで設立されていたことがわかりました。
さらに5年間に新設された日本語学校のうち180校について聞き取り調査や登記簿などを調べ誰が経営しているのか詳しく分析したところ、学校法人が経営していたのは全体のおよそ4分の1以下にとどまった一方で、株式会社や有限会社が経営する学校が7割近くを占めていました。
日本語学校を経営する会社を業種別に見ますとおよそ半数が教育関係の業者だった一方で不動産業、人材派遣業、介護福祉業、建設業、観光業、産業廃棄物処理業など異業種からの参入も相次いでいることがわかりました。
介護事業などを行う会社が新設した日本語学校の校長は「人手不足で自分の会社でアルバイトをしてもらう留学生を集めるために日本語学校を設立した。地域の若者が少なくなっているので、留学生には将来の労働力としても期待している」と話しています。
また建設業者が新設した学校の担当者は、「日本語学校というビジネスに魅力を感じて開校した。本業とは別の収益源になっており今後さらに新たな学校を作ることも検討している」と話しています。
外国人留学生の問題に詳しい神戸大学の斉藤善久准教授は「人手不足に悩む日本社会が留学生を労働力として求めていることが日本語学校急増の背景にあるのではないか。労働現場にいる留学生は実情が見えづらくなっていて政策として留学生を受け入れる以上、国は状況の把握に努めるべきだ」と指摘しています。
-- NHK NEWS WEB