東日本大震災で被災した人たちの生活再建のために、自治体が貸し付けた「災害援護資金」の総額は518億円余りに上ることが国のまとめでわかりました。その返済が今月から本格的に始まりましたが、被災した人たちの中には収入が減ったままの人も多く、不安が広がっています。
災害援護資金は被災した一定の収入以下の人たちを対象に、自治体が350万円を上限に貸し付けを行い、生活再建を支援する制度です。
内閣府によりますと、東日本大震災で被災した人に自治体が貸し付けた災害援護資金の総額は、ことし10月末時点で2万9437件、518億8800万円に上っているということです。都道府県別では、宮城県が405億8800万円と最も多く、次いで福島県が58億4500万円、岩手県が27億7700万円などとなっています。
返済の猶予期間は原則6年で、今月から本格的に返済が始まりました。震災からまもなく6年9か月になる被災地では、住まいの再建が進んでいて、岩手、宮城、福島の3県ではことし10月末時点で90%近い災害公営住宅が完成しています。しかし、被災した人たちの中には震災のあと収入が減ったままの人や、年金暮らしの人も多く、返済への不安が広がっています。
災害援護資金は、阪神・淡路大震災の際にも多くの人が利用しましたが、返済できなくなる人が相次ぎ、神戸市ではおよそ31億円が返済されておらず、大きな問題となっています。
-- NHK NEWS WEB