船舶の衝突事故を減らそうと、国土交通省は船員がかじをとらなくてもほかの船や障害物を避けながら自動で目的地に向かう自動運航船の実用化を目指して、今月から衝突の回避技術や運航のルールなどについて具体的な検討を始めることになりました。
国土交通省によりますと、去年までの5年間に日本沿岸で衝突や転覆などの事故を起こした船のうち77%に当たるおよそ8300隻は、不十分な見張りや不適切な操縦など人為的なミスが原因とされています。
このため国土交通省は今月から、船舶がほかの船や障害物との衝突を自動で避けながら指定された目的地に向かう自動運航船の実用化を目指して具体的な検討を始めることになりました。
自動運航船では船員はかじをとらず見張りに集中できるようになるため安全性が向上するほか、少ない人数で運航でき、船員不足の解消にも役立つと期待されています。
国土交通省は今月22日に船会社や専門家で作る会議を新たに設け、画像認識の技術や赤外線カメラなどを使って障害物を検知し衝突を回避するシステムの検討や、どの海域で航行を許可するかといった運航のルールなどについて議論を行い、来年5月までに報告書をとりまとめることにしています。
国土交通省海洋・環境政策課の田村顕洋技術企画室長は「ほかの船をどこまで検知できるかなど技術的な課題も多いが、自動運航船の実用化に向けて取り組んで行きたい」と話しています。
-- NHK NEWS WEB